【7分中医学】夏バテ対策!夏の水分補給、それで合ってる?
- 澤田みのり

- 2024年8月16日
- 読了時間: 8分
更新日:8月8日
こんばんは! 国際中医師・ピラティス講師の澤田みのりです。
毎日暑くて、心身ともに消耗してしまいますね😅
この猛暑のなかにあっては、水分補給を意識している人も多いでしょう。
しかし、健康的な水分の摂り方をできているでしょうか?
「健康のために、水は毎日2リットル以上飲んでいる」
「カフェインがあるから、お茶は飲まない」
このように思っている人に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ご自身の水分の摂り方が本当に健康的かどうか、チェックしてみてくださいね。
もくじ
1. 導入
2. 夏の邪気
2-1. 暑邪の特徴
2-2. 湿邪の特徴
3. 夏の水分補給、1日に3リットルも水を飲んで大丈夫?
4. お茶はカフェインがあるから水分補給には向かないって本当?
4-1. “飲む” 夏バテ対策
4-2. 水とお茶のどちらを選べばいい?《導入》
季節とともに変化する気候。
中医学ではこの気候の変化のことを、「六気(ろっき)」と言います。

そして六気は、下図のように各季節と関連しています。

さらに、猛暑や台風といった異常気象やカラダの抵抗力の低下などにより、六気は不調の原因となって「六淫邪気(ろくいんじゃき)」へと変化するのです。
たとえば、熱中症や夏バテなども六気である“暑”が六淫邪気である“暑邪”となり、私たちのカラダに影響を及ぼしたものだと考えられます。

上の表では火邪は夏に関連していますが、じつはどの六淫邪気も火邪に変化する可能性が。
ですので、今回は夏に深く関連する暑邪と湿邪にフォーカスしてお話ししていきます。
《夏の邪気》
中医学では、夏を以下のようにふたつに分けてとらえます。
梅雨前の夏前半
梅雨以降の夏後半
夏前半に関わる六気は“暑”、夏後半に関わる六気は“湿”。
これらが六淫邪気へと変化すると“暑邪”“湿邪”となり、不調の原因となるのです。

<暑邪の特徴>
暑邪は炎熱の性質をもち、顔が赤くなったり、イライラしたり、高熱が出たりするなど熱の症状が現れます。
さらに、暑いと汗をかきすぎて脱水症状になったり、どっと疲れたりしませんか?
これは暑邪の炎熱性によって、水分やエネルギーが消耗しやすくなるからなのです。
また、熱は上に向かう性質があるため、カラダの上部に症状が出やすくなります。
熱中症で顔が真っ赤になるのは、この性質によるものです。
ほかにも、暑邪には湿邪と一緒に侵入しやすい特徴も。
夏バテして頭や体がだるくて重くなる、倦怠感などがまさにそれです。
まとめると、暑邪には以下のような特徴があります。

<湿邪の特徴>
湿邪には、外的・内的ともに発生する要因があります。

湿邪が発生すると、粘っこい性質によりカラダの巡りが悪くなります。
巡りが悪くなると、粘っこい痰や鼻水、吐き気やむくみ、排便や排尿してもスッキリしないなどの不調が出やすいです。
そして粘っこい性質は不調を長引かせる働きがあるため、湿邪による不調は慢性化しやすいという特徴をもちます。
ほかにも、湿邪がもつ重濁した性質により、下半身のむくみや尿混濁・下痢といった下半身に症状も出やすくなってきます。
湿邪の特徴をまとめると、下記のとおり。

これらの不調を放っておくと、次の季節まで引きずってしまうことも。
季節は巡るため、夏の不養生は秋にひびいてしまうのです。
次の季節も元気に過ごすためには不摂生は避け、自分自身を養う必要があります。
そのための方法を、水分補給に焦点を当てて紹介いたしましょう。
《夏の水分補給、1日に3リットルも水を飲んで大丈夫?》
「熱中症予防に水分をたくさん摂らなくちゃ!」
「水分代謝をよくするには、水分をたくさん摂るといいんでしょ?」
本当にそうでしょうか?
最近よく、「1日2〜3リットルを飲む」という健康法や美容法を耳にします。
ピラティスのお客様でも実践している方がいらっしゃいますが、みなさまが共通して話されるのが、「逆にむくむ」「本当に健康にいいのかわからない」というお声。
1日に必要な水分量はその人の体格や体質によって異なります。
そして中医学では、飲みすぎは不調の元だと考えられています。
水分の摂りすぎは健康になるどころか、逆に内臓に負担をかけるからです。
その結果代謝が悪くなって湿邪が体内で生まれ、胃腸の働きが低下してむくんだり、重だるくなったりしてしまいます。
これは先の湿邪の特徴でもお伝えしましたね。
もし、こんな飲み方をしていたら要注意です⚠️

一気飲みは内臓に負担をかけるだけでなく、カラダに吸収されにくいために多くが尿として出てしまいます。
先にお伝えした暑邪の特徴に“消耗する症状”がありましたが、たとえば水分が消耗してるから補給したいのに、水分が吸収されずに排泄されてしまっては元も子もないですよね。
カラダのことを思いやるなら、こんな飲み方に変えていきましょう。

そして水分をカラダに沁み渡らせるには、水分を口に含む程度の量がいいでしょう。
それをこまめに繰り返すことで、水分を全身に行き渡らせます。
「のどが渇いた」と感じたら、カラダはすでにカラカラで負担がかかっている状態だと思ってください。
それを防ぐためにも、のどの渇きを感じる前にこまめに水分を口に含むのが、カラダを労わる飲み方です。
また、“水分補給は食事と合わせて考える”というのもとても大切。
食事にも水分が含まれているので、水分補給を飲み物だけで補おうと考える必要はないのです。
「食事からも水分を摂れる」というのを念頭において、飲みすぎに気をつけてくださいね。
《お茶はカフェインがあるから水分補給には向かないって本当?》
「夏の水分補給はお茶よりも水がいい」と聞いたことはありませんか?
それは「利尿作用があるから水分補給にはならない」という理由からのようですが、研究によると一概には言えないようです。
たとえば、日常的にカフェインを摂っている成人男性が適度にカフェインが含まれる飲料を飲む分には、水と同様の水分補給効果があるとわかっています。
(詳しくはSTUDY HACKERの『「わずか1.5%の乾き」が脳のパフォーマンスを下げる! 脳をフル活用するための、水分との付き合い方』にまとめたので、気になる方は見てみてください。)
つまり、「カフェインが含まれる飲料は水分補給にならない」というのは、万人に当てはまる話ではないのです。
体質や飲み方の習慣によってカラダの反応は異なりますし、カフェインが含まれていても立派な水分補給源のひとつとなりえます。無理に避ける必要はありません。
ですので、お茶は水分補給に向かないとは言いきれないのです。
と、ここまでは「水分補給」の観点からお話ししてきました。
次からは、「薬膳的働き」の観点からお話ししていきます。
<“飲む” 夏バテ対策>
先述したように「一気飲みしない」「口に含む程度の量をこまめに飲む」など飲み方に気をつければ、カフェイン入りのお茶であっても、そこまで脱水症状を心配する必要ないでしょう。
むしろ暑邪の影響を受けて体が熱をもって暑くて大変ならば、水よりお茶が適しています。
そしてこの場合におすすめなのは、緑茶です。
薬膳で緑茶は涼性に分類され、カラダの熱を冷ます性質があります。
さらに緑茶がもつ利尿作用は、カラダから熱を追い出します。

<水とお茶のどちらを選べばいい?>
カフェインを摂るとトイレが近くなるなどカフェインに敏感な方は、「水分補給は水をメインにして、暑さによるほてりなど暑邪の影響を感じるときは緑茶にする」といった具合に飲み方を工夫するといいでしょう。
また、睡眠の影響を考えると、寝る前はカフェインが入っていない飲料(つまり水)を選ぶと安心です。
そのときの状況やカラダの状態に合わせて、飲み方を工夫してみてくださいね。

〜〜〜
健康法にもブームがありますが、中医学の知識は何千年も前から受け継がれているものです。
現在では、科学的裏付けも多くなされてきています。
流行り廃りに流されずに、正しい知識を身につけて、自分自身をケアしていけるといいですね。
🌿
中医学に興味はあるけど敷居が高いと感じている人、まさにいま勉強しているけど、難しくてつまずいている人……そういった人のお役に立てたら幸いです。
今後も記事を充実させていくので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
(参考)
辰巳洋(2017),『実用中医学:一冊でわかる基礎から応用』,源草社.
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