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【弁証論治とは?】国際薬膳師を目指す人のための中医学入門

  • 執筆者の写真: 澤田みのり
    澤田みのり
  • 4月9日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月21日


漢方薬棚

中医学の特徴と言えば、「整体観念」と「弁証論治(べんしょうろんち)」

今回は、「弁証論治」についてお話ししていきます。


初めて聞くと「なんだか難しそう……」と思うかもしれませんが、じつはこの考え方こそが、中医学の醍醐味とも言える部分なんです。


このブログでは、これから中医学を学びたい方や、国際薬膳師の資格取得を考えている方に向けて、「弁証論治ってなに?」という基本の部分を、やさしく・わかりやすく解説します。


私自身が試験勉強をしていて「この言葉たちって似てるけど、どう違うの?」と悩んだところも含めてお伝えするので、理解のおともにご活用いただければ幸いです。


ぜひご一読ください。


 

<<「弁証論治」とは?>>

中医学では、ひとつの病気でもタイプによって治療法が変わります


たとえば、「腹痛」とひとことで言っても、「冷えからくるタイプ」「ストレスからくるタイプ」「食中毒などによるタイプ」などがありますよね。

中医学ではこういった病気のタイプに合わせて治療を決めていくので、症状:薬・治療法=1:多という特徴があるのです。


このように、病気のタイプを分析してから治療法を決めるまでのプロセスを「弁証論治(べんしょうろんち)」と言います。


 

<< 症をもとに病気をとらえる「弁証」とは?>>

「弁証」とは、病気の “タイプ” を見極めていくことです。

この「病気のタイプ」のことを、中医学用語で「証(しょう)」と言います。


病気をタイプ分けする際には、「症状」「症候」をもとに分析していきます。


🩺分析する際のチェック項目🩺

  • 病気の原因

  • 病気に関わる臓腑(病気の位置)

  • 病気に至るメカニズム

  • 病気の性質

  • 病気の変化(進行してるか? 慢性化しているか? 病気の位置が移動してるか? など)

など


これらの情報を総合的に判断し、最終的に 「証」 を導き出すのです。


 

💡中医学用語チェック

  • 証:病気のタイプのこと

  • 症状:頭痛や発熱など、患者自身が感じる身体の不調のこと

  • 症候:舌や脈の様子・顔色など、外から見てわかる身体の変化のこと

→症状と症候をまとめて「症」と呼びます。 (例)

  • 肝血虚:肝血不足タイプの病気

  • :目のかすみ、手足のしびれや震えなど←本人が感じる不調

  • :爪の色が淡い、顔色が白い、脈が弱いなど←見える情報


このように、「感じている不調」と「見える情報」の両方を丁寧に読み取っていくのが中医学の診察スタイルです。


 

<<証に合わせてアプローチ法を決める「論治」>>

弁証によって身体の状態(=証)がわかったら、次は「どうやって治すか?」を考えます。

この具体的な治療法を決めるプロセスが「論治(ろんち)」です。


たとえば「肝血虚証」という診断が出たなら、足りない “血(けつ)” を補う治療が必要になります。

このとき、どんな治療法を使うかはケースバイケース。中医学ではいろいろなアプローチがあるのです。


🛠 治療法の選択例

  • 漢方薬で「補血作用」のある処方を選ぶ

  • 鍼灸で気血の流れを整える

  • 薬膳で血を補う食材(黒ごま、レバー、にんじんなど)を摂り入れる

  • 生活習慣のアドバイスをする(夜更かしを控える、目を使いすぎない など)


つまり、「証に合わせたオーダーメイドの治療計画」が「論治」なのです。


 

<<弁証論治のおもしろさ「同病異治」と「異病同治」>>

中医学では、「同じ病気でも人によって治療法が違う」「違う病気でも同じ治療薬を使う」という、ちょっと不思議なことが起こります。

これはすべて、「証」に基づいて治療を考えるからこそ。


そんな中医学ならではの特徴を表す言葉がこちらです。


同病異治(どうびょういち)

同じ病気(病名)でも、証によって治療法が異なることを「同病異治」と言います。


(例)「カゼ」でも、冷えからくるタイプと、熱っぽいタイプでは、使う漢方薬が異なります


異病同治(いびょうどうち)

異なる病気でも、同じ治療法を用いることを「異病同治」と言います。


(例)「熱っぽい感じの二日酔い」と「情緒が乱れる状態」とで、同じ漢方薬を使うことがあります


🌿


その人に合わせて柔軟に対応できるのが、中医学の最大の魅力です。


〜〜〜


先日の整体観念とあわせて、弁証論治は中医学を学ぶうえでの “土台” となります。

症状だけを見て安易に診断してしまっては、最悪の場合、深刻な状態になってしまう危険性も。

だからこそ、しっかり弁証して、その人に合った論治につなげていくことが大切なのです。


これから一緒に、中医学の学びを深めていきましょう✨




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