陰陽は、こころとからだの “変化” の地図になる

こんばんは！　国際中医師・ピラティス講師の澤田みのりです。

「陰陽」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか？

歴史ファンタジーや占いのような、ちょっと不思議な世界を思い浮かべるかもしれません。

しかし、「陰陽」はもっと身近なところにあります。

朝が来て、夜が来る。

日中は暖かくて、夜はひんやりする。

そんな、自然の流れそのものが「陰陽」なのです。

太古の人々は自然界のあらゆる事柄をカテゴライズして、長く健康に生きるための知恵を蓄えてきました。

その知恵の集大成、つまり太古の人々の自然現象に対する考え方をまとめたもののひとつが「陰陽学説」です。

この記事では、 してもらうことを目指します。

国際薬膳師試験の勉強中の人は参考書がわりに、なんとなく興味があるという人はコラムを気軽に読むような感じで読んでいただけると嬉しいです。

もくじ
1. 「陰陽学説」とは？
2. 心身の変化を陰陽で考える

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<<「陰陽学説」とは？>>

「陰陽学説」は中国古来の自然哲学のことで、世のなかのさまざまなありさまを「陰」と「陽」に分けて理論化したものです。

陰と陽に “分ける” と言うと、白黒はっきりさせるような、両極端なものとしてとらえてしまうかもしれません。

しかし、陰陽とはグラデーションのようなもので、互いに影響し合いながら変化していきます。

下の図を見てみましょう。

これは「太極図（たいきょくず）」といって、陰陽の移り変わりを表した図です。

白は「陽」、黒は「陰」。境目がなめらかにカーブしていて、はっきり分かれていないのが特徴です。

私たちの一日をこの図に当てはめて考えてみましょう。

深夜（真下）は「陰のピーク」、そこから陽が増していき、正午に「陽のピーク」を迎えます。

午後になるとまた陰が増えていき、夜に向かっていく……。

ポイントは、「いきなり切り替わらない」こと。朝〜昼〜夜と、徐々に変化していきます。

また、白丸と黒丸の存在も大切です。

白い領域のなかにある黒丸は「陽のなかの陰」を表します。

陽のピークを迎える正午は一番明るくエネルギーに満ちた時間ですが、その裏には「これから少しずつ陰へ向かっていく」兆しが潜んでいます。これが、陽のなかにある陰の存在です。

同様に黒い領域のなかにある白丸は「陰のなかの陽」を表し、夜中の一番静かな時間帯にも「夜明けへ向かう兆し」が潜んでいます。これは、陰のなかにある陽の存在です。

もう少し広い視点で言うと、太極図にあるように季節の変化も陰陽でとらえられます。

そして私たちの心身の変化も陰陽でとらえることができるのです。

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<< 心身の変化を陰陽で考える>>

気持ちの浮き沈みを陰陽でとらえられることは、以前こちらの記事でお伝えしました。

ほかにも、いつもイライラしているなら、体質が陽に傾いているかもしれません。

カゼをひいて寒気がとまらないなら、体調が陰に傾いている可能性があります。

陽が足りないと、疲れがなかなか抜けなくてつらくなることもあるでしょう。

このように、気持ちのバランスを保てなくてつらかったり、

病院に行くほどではないけれど、体調がなんとなく優れない日が続いたりすると、「原因がわからない」ことが、悩みの種になることもあると思います。

でももし、こうした心身の変化を「陰陽」というレンズで見ることができたら──

ずっとモヤがかかっていた “正体不明のなにか” に、少しずつ輪郭が浮かんできます。

言葉にならない感情を言語化できるとココロが少し軽くなることがあるように、不調の正体が見えてくると、「じゃあ、どうしようか？」という行動の糸口もつかめるようになってきます。

陰陽のバランスが身体のなかで乱れたときに、不調として現れるのです。そしてそれがわかれば、不調にも太刀打ちできるのです。

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陰陽とは身体の状態をとらえるためのフィルターのひとつです。そして中医学では、陰陽以外にもさまざまなフィルターがあり、いろんなフィルターを通して身体の状態をとらえていきます。

これから少しずつ、そんな “フィルター” たちを一緒にのぞいていきませんか？

中医学の知恵が、毎日を心地よいものとしてくれるかもしれません。

（参考）

辰巳洋(2017),『実用中医学：一冊でわかる基礎から応用』,源草社.

辰巳洋(2016),『実用　体質薬膳学』,東洋学術出版社.

三浦於菟監修(2019),『マンガでわかる東洋医学の教科書』,ナツメ社.

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