「疲れが抜けない」〜気・血・水でひも解くカラダのSOS〜
- 澤田みのり

- 7月23日
- 読了時間: 7分
更新日:8月26日

こんばんは! 国際中医師・ピラティス講師の澤田みのりです。
「暑くてだるい」「疲れが抜けない」
そんな日が続くと、気合いが足りないような気がして自分を責めてしまったり、気持ちも沈んでしまったりしませんか?
しかしそれはあなたが悪いわけではなく、「もう少し頑張るペースを落として!」というカラダからのSOSかもしれません。
自分ではそんなに頑張っているつもりはなくても、知らず知らずのうちに体力や気力のキャパを超えてしまうのはよくあること。
それに気づかずに過ごし続けてしまうと、さまざまな不調のきっかけをつくってしまうのです。
中医学では、何事も程度を超えて “しすぎること” でカラダの機能を乱してしまうと考えます。
この記事では、頑張りすぎることがカラダにどのような影響を与えるのか、カラダの構成要素である「気(き)・血(けつ)・水(すい)」を知ることでひも解いていきます。
「血」や「気」と聞くと怪しげな印象を受けるかもしれませんが、これらはカラダの構成要素を表す中医学的表現。
「血」や「気」について知れば、日々を健やかに過ごすために必要なヒントが見えてきます。
カラダのサインを上手にキャッチし、自分のカラダとうまく折り合いをつけていけるようになるための参考にしてみてください。
もくじ
1. 「労逸過度(ろういつかど)」とは?
2. 「気・血・水」ってなに? ざっくり知ろう
3. 「気・血・水」の関わり
4. こんなときは要注意! カラダのSOSサイン
5. 「疲れやすさ」を招くライフスタイルの癖<<「労逸過度(ろういつかど)」とは?>>
中医学には「労逸過度(ろういつかど)」という考え方があります。
「労」は “過労” の “労”、「逸」は “安逸” の “逸”のことで、「なにかをやりすぎることも、逆になにもしなさすぎることも、カラダの機能不調を引き起こしてしまう」という意味です。
そして「労逸過度」が疲れの原因になることもあります。
たとえば、「長く見ると血を傷め、長く寝ると気を傷め、……(以下略)」ということわざがあるのですが、これは「目の酷使は血のトラブルを招き、寝てばかりいて気のトラブルを招く」という意味。
「しすぎること」が不調を招く一例です。
目の酷使による「血」のトラブルの例で言えば、
充血
眼精疲労
めまい
ドライアイ
頭痛
など
寝てばかりによる「気」のトラブルなら、
疲れが抜けない
だるい
カゼをひきやすい
頭がぼーっとして集中できない
やる気が出ない
など
このように、「気・血」を消耗するようなライフスタイルを続けているとバランスを崩し、疲れやすさにもつながってしまうのです。
<< 「気・血・水」ってなに? ざっくり知ろう>>
中医学では、人のカラダは「気・血・水」の3つの要素で成り立っていると考えます。
● 気(き):生命エネルギー。カラダを機能させる働き全体を指す。
カラダを動かし、温め、守り、内に留める力などをもち、
疲れやすさ、カゼのひきやすさ、多汗、冷えなどと深く関係します。
● 血(けつ):カラダ全体に栄養と潤いを与えるもの。
血液そのものだけでなく、そこに含まれる栄養・潤いを指します。
脳も「血」によって滋養されるため精神の安定や集中力にも関わり、「血は思考の源」とされています。
● 水(すい):血液以外の体液の総称。
別名「津液(しんえき)」とも呼ばれ、血液以外の体液(唾液・汗・リンパ液など)のことを指します。
カラダを潤し老廃物を排出するもので、汗のかきすぎや脱水、むくみ、乾燥などと関係しています。
これら3要素は互いに影響し合っており、バランスよく機能することで健康状態が保たれるのです。
<< 「気・血・水」の関わり >>
「気・血・水」は独立した存在ではなく、次のような関係性をもつと考えられています。
気生血(きしょうけつ):「気は血を生む」という意味。「気」はカラダを機能させる働き全体だとお伝えしました。つまり、「気」は「血」をつくるための臓腑を働かせているとも言えます。よって、「気は血を生む」のです。
気血同行(きけつどうこう):カラダを機能させている「気」の働きによって、「血」が循環するということ。つまり、カラダを「気」と「血」が一緒に巡っているのです。
気摂血(きせっけつ):「気」の働きによって、「血」が脈管から漏れ出るのを防ぎます。
また、「血」が不足すれば、「気」を生み出す臓器(肺・脾・腎)が栄養不足になり、「気」も弱くなります。
このように、「気が病めば血も病み、血が病めば気も病む」という相互関係があるのです。
「水」との関連も忘れてはいけません。
「気」の不足により「水」をつくるための臓腑を働かせられなかったり、「水」を巡らせられなかったりします。
高熱や激しい嘔吐や下痢、汗のかきすぎなどによって大量に「水」が失われたら、「気」も一緒に流出してしまうと考えます。
「水」も「血」も飲食物を五臓の「脾胃」で消化・吸収されてつくられるので、「津血同源(しんけつどうげん)」と言われています。「血」と「水」のどちらかが足りなくなれば、一方に変化して補い合います。
「気・血・水」のどれかひとつでもバランスが乱れると互いに影響し合い、不調につながってしまうのです。
<< こんなときは要注意! カラダのSOSサイン >>
「気・血・水」にトラブルが起こると、こんな不調が出てくる場合があります。
◯ 「気」の不調
エネルギー不足で疲れやすくなる
抵抗力が弱り、カゼをひきやすくなる
温める力が弱くなり、冷えやすくなる
必要なものを体内に留めておく力が弱くなり、多汗・多尿・出血といった漏れ出る不調が現れやすくなる
やる気が出ない
など
◯ 「血」の不調
精神的に不安定になる
反応が鈍くなる
カラダを動かしにくくなる
頭がぼーっとする
めまいや立ちくらみ
など
◯ 「水」の不調
むくみ
だるさ
下痢や便秘
汗のかきすぎ、もしくはまったくかかない
口の渇きや皮膚・毛髪の乾燥
汗のかきすぎ
など
これらのカラダのサインを放っておくと、あらゆる不調を招いてしまいます。
<< 「疲れやすさ」を招くライフスタイルの癖 >>
一見些細に思える生活習慣が、「気・血・水」のバランスに影響します。
睡眠不足や働きすぎ→「気」を消耗し、疲れを招きます
パソコンやスマートフォンの使用などの目の酷使→「血」を消耗し、精神的にも不安定に。カラダも動かしにくくなるので、疲れを感じやすくなります。
寝過ぎ→「気」が巡らないため、気力も湧きにくくなります。
サウナやホットヨガなどで大量に汗をかく→「水」と一緒に「気」まで失い、エネルギーが不足してしまいます。
など
いくら休んでも疲れがとれないのなら、「なにかやりすぎている習慣はないか?」日常生活を振り返ってみてみてください。
完全にゼロにすることはできなくても、減らすことはできるはずです。
〜〜〜
頑張り屋さんほど「もっと努力しなきゃ」と、自分を追い込みがち。
でも、「疲れがとれない」ときに必要なのは、気合いではなくカラダの状態に目を向けることです。
「気・血・水」のバランスを整える取り組みが、自分らしい元気を取り戻す第一歩になります。
「どうしてこんなに疲れてるんだろう」と思ったら、まずはいったん立ち止まり、カラダからのメッセージに耳を澄ませてみてくださいね。
また、あまりにもだるさが長引いたりカラダがつらかったりしたら、病気が潜んでいる可能性もあります。その場合は早めに病院で診てもらうようにしましょう。
(参考)
辰巳洋(2017),『実用中医学:一冊でわかる基礎から応用』,源草社.
三浦於菟監修(2019),『マンガでわかる東洋医学の教科書』,ナツメ社.
辰巳洋主編(2009),『一語でわかる 中医用語辞典』,源草社.
櫻井大典(2018),『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方:体と心をいたわる365のコツ』,ナツメ社.
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